年齢と語学

本当にそうだろうか?
若い人は語学習得が早い。英語教育開始はなるべく若い時に。子供は吸収力がよく、大人よりも英語を習得するのに時間がかからない。native 並みの英語力を身につけるには、幼児からの英語教育を。

うんざりするほど聞く世間の一般論(?)ですが、私はそうは思いません。(一番最後のは真実かもしれないと思うこともありますが、そもそも native 並みの英語力が必要なのか? 身の回りの人全員が英語のみを話す native が育つ環境と同じ環境を、そもそも日本で実現可能なのか? あたりに疑問を感じます。)

そして、『俺は新しい言語を習うには年を取りすぎている』なんて言い出す人も。ここまでくると言い訳ですね。

子供より大人のほうが全般的な語学習得は早い
私は、既に一つの言語(日本語)をマスターしている大人のほうが、子供よりも新しい言語(英語)の習得は早いと思います。文法の大切さや、単語の意味等の説明は、ほぼ間違いなく初めは母国語で習います。大人はこれをすんなり理解できる一方、子供は語の意味するところや文法用語が意味するところを掴むのに苦労し、すんなりとは行きません。子供(特に学童期のうちでも低年齢)は、感覚と経験の積み重ねで言語を習得していきます。大人は、理論から入ります。理論から入ったほうが体系的な理解が早く、結果として言語習得がよりスムーズになります。

子供は経験から入るため、経験に頼るところが大きい技能である発音やとっさの時に出る語などは、子供のほうが早く『身に付く』かもしれません。しかし、日本語のケースを見ても分かるように、小学校中学年くらいになっても、日本語はまだまだ危なっかしいです。3歳から話し始めるとしても、5~7年以上かけて子供は言語を習得しています。

ではなぜ、子供が習得が早いように見えるのか
一つは、子供は時間があるので、大人よりも勉強時間は確保しやすいです。さらには、子供は勉強しているように見えないことから、努力を伴っていないように見えるのかもしれません。だから、余計に簡単にマスターしているように見えるのでしょう。しかしこれは誤解です。机には座らないかもしれませんが、子供も新たな言語を習得するには違った形の努力をしていると思います。

もう一つの可能性として、子供の世界は大人より狭く、一つ一つの事柄が非常に大きなウェイトを占めてしまうということがあるかもしれません。大人だったら、英語を話せなくてもそのほかにプライドや自尊心を維持してくれるものはたくさんあります。住んでいる世界が広いから、英語ができなくても(精神的な)逃げ場所、拠り所があるし、英語ができなくてもTOEICが600点でも生きていけるということも知っているのです。しかし子供はそうは行きません。世界が狭いだけあって、一つ一つが一大事です。鉄棒の逆上がりなんかも大人から見ると出来ても出来なくてもいいように見えますが、子供にとっては一大事で、信じられないほどのエネルギーを投下して出来るようになるよう努力します。それと同じことが第二言語習得時にも現れてくるのだと思います。

子供には出来るけど大人には出来ないこと
間違いを恐れないこと。これは、確実に語学学習で子供を有利にしている要素の一つだと思います。これは、大人が間違いを恐れすぎというより、実は子供自身、指摘されるまで間違えていることを分かっていないのだと思います。そして周囲には間違いを訂正してくれる大人や先生たちがいます。間違い、そして訂正を貰う、のループを何度も繰り返すことで、物事は身についていきます。

ところが、大人のあなたはそうは行きません。あなたがビジネスで英語を使用して間違えても、取引相手や海外部署の同僚は訂正してくれません。先方が意味を理解できなかったときに、再確認が飛んでくるくらいです。ましてや、部下があなたの英語を訂正してくれるなんて期待してはいけません。だからビジネスの場においては、間違えてでもいいから話してみるというメンタリティーでも、上達は難しいのです。しかも、コトによっては言葉の間違いが責任問題に発展する可能性も考えると、間違えてもいいからなんて甘い姿勢で臨むべきではないのです。

そして大人の私はどうすれば…
大人のあなたでも比較的間違えても構わないシーンはあります。食事時にするビジネスとは全く関係ない話や、(あなたが通っているならば)英会話スクールなどです。しかしこのような場面でも、子供が間違えた時ほど、周りの人はイイ大人のあなたに訂正を入れてくれません。結局、大人になったあなたが英語を習得するには、あまり他人に頼ることは出来ないのです。確実にあなたを英語マスターに導く方法は、非常に個人的な営み(努力)しかありません。

でも、努力は辛い必要はありません。自分に合った勉強法で、勉強を続けることが大事です。私の勉強法を参考にしてもらえると、幸いです。(勉強には、精読的方法と乱読的方法の双方を組み入れよう

- 今日のフレーズ
Once a cheater, always a cheater. (嘘つき者は、一生嘘つき)
cheater とは、cheat する人なんですが、この cheat、ただ単に嘘をつく、人をだますという意味の他に、浮気するという意味があります(この意味で使われることのほうが多いかも)。

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